2001.2.22

くつろぎの時間

 急に春めいてきました。この冬は大雪が降って(まだ油断はできないけど)暖冬なんて言われていたのに、いつもよりも寒さが数段厳しかった感じがするのですが。
 だから急に春めいてくるのは嬉しい。ここ数年、春イコール花粉症という式がちょっと頭をよぎるけど、でもやっぱり春は嬉しい。 
 あったかい、たくさんの花が咲く、薄着になれる、歩くのもいつもより数倍も楽しい。想像するだけで5割増も嬉しくなってくる。
 東京に住んでいるから、こんなことを言うと怒られてしまうけれど、過酷な寒さや暑さに耐えるというのは、肉体も精神も強靱でなければ乗り切れないと思う。そのどっちが足りなくても辛い。自分の場合は、そんなに身体はタフではないと思う。かと言って、虚弱体質ではない。
 でも、いままでを振り返ってみると、無理をして身体が黄色信号を出していても気づかなかったり、だましだまししているうちに、ちょっと大きな症状が出ているというような鈍いところもあった。自分の身体を自分がいちばんわからないというのは、あまりにも情けない。おかしなもので、精神面ではいくらか客観視ができているのに、肉体面ではそれがとっても不得意なのだ。
 そんなことがきっかけになって、私は今年になってから、「くつろぐ時間」ということをマジメに考えはじめている。
 仕事が楽しくて毎日があっと言う間というのは、こんなご時世ではありがたくて幸せなことだけど、それでいいのかなあ。そう書いてしまうと、朝早くから夜遅くまで働いている人にとても申し訳ないけれど。
 ぼ〜っとする時間を作ることはもともと大好きだから、毎朝、仕事の前にどうにか時間を作ってお茶をする。そういうことは何年も日課になっている。だけど「くつろぐ時間」なんていうことをマジメに考えたことはお休みの日以外はほとんどなかったなあ。
 手始めに、その大好きなお茶の時間にいろいろな種類のお茶を試してみることにした。緑茶、ほうじ茶、ウーロン茶はもちろん、マテ茶、紅茶。紅茶もいろんな種類がある。このところのお気に入りは、レピシエの「ショーレ・マロン」という栗の香りのするお茶だ。それは、栗の粒が実際に入っていて、ミルクティーにするとこっくりしていて甘い香りがとてもやわらかで美味しい。モンブランなどの栗のお菓子が好きな人にはきっとたまらない美味しさではないかなあ。
 そしてそのお茶には、やっぱり甘いお菓子が似合う。ほんのちょっとの量の気に入ったお菓子があればお茶の時間は余計に心が弾む。このところ好きなのは、池袋西武地下一階の「御座候」の大判焼き。ひとつ70円という安価なのに、ひとくち食べるとあったかい幸せがいっぱいに広がる。いつ通ってもその前には人が並んでいるくらい人気者のお菓子です。そうだ、そうだ。いただき物の虎屋の「夜の梅」(羊羹)があるのを思い出した!
わ〜〜〜い、う〜れし〜なあ〜。 

2001.2.26

トンネルを抜けると

 ・・・そこは雪国だった。
 この土日で越後湯沢の温泉に行った。川端康成の「雪国」は越後湯沢が舞台。土曜の東京は曇り空だったけれど、まさしくトンネルを抜けると視界いっぱいにまぶしい銀世界が広がっていて驚いてしまった。小説の時代とは違って、現在はトンネルを抜けると群馬県水上らしい。
 春を探しに行く旅をするはずだったのに、なぜかもう一度冬を求めに行ったような雪の降り積もる湯沢の街。
 越後湯沢と言えばスキーなのだろうけれど、私達一行は温泉で何もしないでぼ〜っとする目的で新幹線に乗った。
 気心の知れたメンバーで行く温泉っていうのは本当にくつろぐ。つい数日前に、くつろぐということについて書いた私にピッタリの旅。
 そこでは5年振りくらいにお目にかかる人もいた。新潟生まれ・新潟育ちのその人は、社会人になって上京してきた。20代のほとんどを東京で過ごして20代後半に帰郷した。5年振りくらいで会う細身のその人はさらに細身になっていたけれど、心意気や細やかなやさしさは変わっていなくて、タイムラグも何もなかった。世の中には、顔つきがすぐに変わるような人もいるから、こういう風にホントの素朴な人に会うとホッとしてしまう。
 彼はとても記憶力のいい人で、私たちが記憶の片隅にしまい込んで冷凍保存してしまった事柄を、解凍して、ほどよく加熱してくれて、ちょうどいい温度にあっためてくれた。
 そうだネ、そんなこともあったよねぇ・・・。こういう話って社交辞令みたいになってしまうこともあるけれど、その人との話は不思議なくらい温度を感じて、真剣に思い出を取り出してしばらく浸っていた。そんな気持ちになれたのは、心から私達のことを待っていてくれたっていうのが伝わったきたからだろう。心からありがたいなあと思う。
 行き当たりばったりの私たち仲間は、適当な時間に集まる。誰がいつ到着するとか、そういうことがいつもあまりよくわからない。とりあえず「来てくれる」ということがわかっていたらそれだけで良しとしている。
 温泉に入り、美味しいご飯を食べて、夜になった。部屋にあったカラオケも唄いたい人だけが気ままに唄う。いつの間にかもうその辺で熟睡している人もいたりする。それはそれは気ままな夜。
 いつになかったことと言えば、そんな気ままな集団がトランプをやろうということになったのだ。最初は「大貧民」。それからなぜか「ババ抜き」。そして「主犯・共犯」。
 「主犯・共犯」をご存知ない人もいるので説明すると、たとえば8人メンバーがいるとする。エース、キング1枚ずつを入れてあと6枚のカードを用意する。たった1枚だけそれぞれに配られる。配られた1枚のカードをこそっと見て(内緒)、もしエースなら主犯、キングなら共犯になる。カードを見たら全員がすぐに頭を伏せて目をつぶる。主犯と共犯だけ、他の人に気付かれないように頭を上げて、主犯が共犯にアイコンタクトで誰の頭を叩くかを命令する。命令された共犯が決められた小道具(例えばスリッパ、空いたペットボトル)で、主犯の命令どおりの人の頭を叩く。叩かれた人は速やかに10を数えて、数え終わったら全員が頭を上げる。そして叩かれた人が、主犯と共犯を、それぞれのメンバーの態度や顔色などから当てる。
 そ〜んなこども騙しのゲームなのだけど、これがやってみると、ものすごく可笑しい。いい年した大人が大いに盛り上がる。この日もこのゲームを2時間ばかりやっていた私たち。。。
 人数が多く集まったら、ぜひ皆さんもやってみてください。