数センチのパワー
風邪を引いた。なんとかは風邪を引かない・・・っていうことわざ通り、あんまり風邪に好かれない私なのに今回はとても長かった。5日くらい37度から37度5分くらいのたらっとした熱が続いたので頭がぼうっとしてとてもだるかった。でも、貼るタイプのホカロンと熱い食べ物のおかげで、やっと治った。
不快な日にちが数を重ねたおかげで、生活も工夫を凝らすことが多かった。食べ物はもちろんのこと、あるとってもシンプルな工夫が思いの外症状を快復させてくれた。それは窓際にぴったりと着けてあったベッドを、ほんの数センチだけ窓から離すことだった。
明け方になるとちょっと震えるくらいの冷気が窓のほんの隙間から入ってきて、完全に眠っているのに(寒い・・・)とこのところ毎日のように思っていた。そして必ず一番上に掛けている布団がベッドの脇にたら〜っと垂れている。身体の半分くらいに布団が掛かっていないことはほとんど毎朝の現象だった。ベッドの位置を眠るときだけちょこっと窓から離してみるという工夫を全くしていなかったのである(気づかなかったとも言えるけど)。ちょっと面倒だけど、寝る前にベッドをずらしてみた。するとどうでしょう〜。明け方の冷気もないし、布団が落ちることもなくなって、目覚めるまでとてもあったかだった。こんな工夫を今までしないでいたなんて・・・。
それより何より、たった数センチ、ベッドの位置をずらしただけで、天井を見ると新鮮な世界が広がっていたのである。これには本当に驚いた。たった数センチずれただけで、見えてくるものが違うなんて・・・。そんなちょっとの変化でおかしいかもしれないけど他の家に泊まっているような感じもあった。風邪を引いたおかげでちょっと得した気分(治ったからそう言えるんだけど)。
たった数センチで世界が変わることって他にもある。靴の高さもそう。7センチくらいのハイヒールを履くと突然颯爽とした気分になれる。道行く女の子が小さく見えたりして、なんか自己満足の極致になったりする。そう考えると、最近の20センチ近い厚底靴の女の子たちって、ものすご〜〜く世界が変わるのだろうなあ。あれなら強気になるだろうな。端から見ていて格好悪いなって思うのだけど、そのことも履いている当の女の子たちはちゃんと知ってそう。知っていてもやめられないし、あの不思議なロボットみたいな靴のブームが去らないのは、全身にパワーというか強気さがみなぎるからかもしれない。一度足を入れたら、「どこからでもかかってらっしゃ〜い!」っていう気分になれるのかもしれない。そのかわり、靴を脱いだときの反動は大きいかもしれない。敗北感が湧いてきそうだもん・・・。厚底ブームは当分続くような気がします。
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