「からださん」と「こころさん」
このところ、ちょっと体調が悪い。弱くもないけどそんなに頑丈ともいえないのに、自分のキャパシティ以上にこのごろの日常の出来事のWAVEがとても大きいのだと思う。それでからだがそのWAVEに乗れなくて、時々溺れてしまうというわけだ。
それにしても具合が悪かったので、いちおう調べましょと思って簡単な検査をしてもらった。特にどこも異常はないのだけど、ひとつだけすごいことをみつけたのだった。もともと低血圧なほうで、100以上には行ったことがない私の血圧なのだけれど、それでも今はひどくて深呼吸をして測っても85しかなかった。それでは、ふら〜〜っとしても仕方がないらしい。
このとろ〜い「からださん」の持ち主のわたしはそういう状況には慣れているのだろうけど、それに反して「こころさん」のほうはやけに過敏になっているから、からださんとこころさんは真っ正面から対立してしまうのだろう。
この場合、からださんとこころさんは同じ持ち主のものと考えるべきなのだけれど、今の私にはどうしても、からださんとこころさんが自分のものと思えない。からださんはたら〜〜んとしていて怠け者で何にもやりたくない。こころさんはピピピッとアンテナの受信感度が高くて微妙なことにでもすぐに反応する。それで、からださんとこころさんの喧嘩が起きる。
「あんた、なに怠けてんのぉ〜」
「そう言われたってさぁ、だるいんだも〜ん」
朝から晩までこういう対決がわたしの中で起きているに違いない。そうするとからださんとこころさんの持ち主である私は、そのお二方の平行線のような意見を聞き入れることができなくてパニックを起こしてしまうっていうわけだ。しかし、そこで持ち主が強気で理路整然としているキャラクターならお二方を制御できる。けれども私は、感じることのほうが先立ってしまい、状況を理性的に判断することができない。だから強気になれなくて、ついついどっちのことも受け入れてしまおうと思う。それが不幸の始まりで、さらにお二方の怒りをかうようになってしまう。
「ちょっとぉ、持ち主のあんたがさ、いつも優柔不断だから、私たちこんなふうになっちゃうのよぉ〜」
「そうよ、そうよ、どうしてくれんのよぉ。はっきりしなさいよぉ。まったくさ、役に立たないんだからぁ」
・・・とクレームだらけになる。そうすると持ち主の私は逃げたくなって逃げようとするんだけど、そういう弱腰だから、からださんもこころさんも怒りがいっそうひどくなってもっと状況が悪化するというわけだ。
そこで第三者の仲裁役が入り、「持ち主」と「からださん」と「こころさん」を落ち着かせてくれるような理性的な意見を言ってくれるとどよ〜んと淀んでいたイヤな雰囲気が消え去り、お互いにまた仲良くできるというわけだ。きっとそういう第三者のことを、良いお医者さんと呼ぶのだろう。
そんな風に他人事のように考えていたら、だんだん体調もよくなってきたような気がした。
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