弱り目に祟り目
梅雨が明けて真夏をエンジョイする筈のこの頃、私はすっかり「弱り目に祟り目」でマイナー気分だ。
とても精神に左右されながら生きている私は、気分が良いと何をやっても上手く行ったりする。その反対に、一つつまずいたときは何もかも歯車が咬み合わなくなってガタガタになったりすることもときにある。
今現在がまさにそのガタガタになっている時なのだ。
先週の金曜日、ここでよく登場する「お昼を食べに行くとき下りる坂道」を歩いていた。すると、何かが口もとをかすめたような感じがあったが、あまり気にも止めなかった。それから数時間後、口もとがかゆくてかゆくてたまらなくなってきた。思いきり、爪で、ぽつっと口もとにできたかゆみの原因を退治しようと夢中になっていた。
その結果、先週末から異様に目立つような炎症ができてしまったのである。かさぶたになっているわけではないので、化粧で隠すという方法はとれない。とにかく何か最善の方法をと思い、薬屋さんでステロイド入りの軟膏を買った。ガスター10あたりから、少し強めの薬も薬屋さんで購入できるようになったことはとても便利である。私は、早く治りたい一心で念入りに薬を患部に塗った。
ひとつ気になるとそればかり気になってしまって、1時間おきに鏡を覗いては自分の顔を見てがっかりした。人間ってすごいものだ。ひとつ何かそんな情けない傷(?)が増えただけで、まったく人相が変わったりするのだから。私はその情けない自分を見ながらため息をついたが、何故か突然「愛は霧の彼方に」という映画を思いだした。主人公の女性が身体を張って、ゴリラを守り抜く感動的な映画である。私は本当にバカみたいだけれど、とにかく「身体を張って何かをした・・・」気分になろうと思った。そうすれば傷のひとつやふたつなんて何でもない。そう、今日から私は「ワイルドな女」を目指そうと思ったのである。そんなことを考えていたら、ちょっと楽しくなってきて気分もすっかり明るくなってきた。
その夜、右目の目元にも虫さされがあることを気付いた私は、例の薬をていねいに塗って寝た。
次の日の朝起きてみたら、右目だけが異様に腫れ上がって、しかも目の中が真っ赤になっていた・・・。かゆくてたまらない。そういえば、夜中に目をこすっていたような気がする。薬が目の中に入ってしまったのだろう・・・。
今の私は口元に傷、目は真っ赤・・・・。
これこそホントの弱り目に祟り目というものなのだろう。
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