Tu veux boire quelque chose?
西瓜の話を書いたら、もうひとつ思い出したことがあった。やはりこれもかなりみっともない話である。自分ではそうは思わないのだけど、親からはいつも注意力が足りないと小さい頃から言われていた。そう考えてみれば、私って「行動してから考える」タイプかもしれない。ぶつかってしまってから考えているタイプなのは事実である。
そういう性格故、私のみっともない話は多い。でもこれは、得か損か、人と知り合ってすぐには見破られない私の特徴なのである。
さて、そのみっともない話に戻ろう。「西瓜」は小学生の時の話だけれど、今回は高校時代の話である(高校生の時というのもかなりみっともない)。
ある日曜日、友達が2人遊びに来た。両親は出かけたのだけれど、友達が来ると言ったら、母があらかじめお菓子や飲み物を用意してくれた。居間のテーブルいっぱいにそのお菓子を広げて、ジュースを飲みながら、私たち3人は食べ続けていた。同時に間断なく喋り続けていた。食欲旺盛なこのお年頃、あっと言う間に、お菓子もジュースもなくなってしまった。それでも私たちはお喋りに夢中で、ずっと喋り続けていたのだけれど、ふと私はサービスしたくなった(・・というより、自分の喉がやけに渇いていた)。そこで私は「ね。コーヒー、好き?」と友達に聞く。2人とも「うん、好き好き!」と嬉しそうに、即、反応した。私はその返事を聞いて、とても心が弾んだ。「あのね、家に美味しいコーヒーがあるから、今いれてあげる」とちょっと気取って言った。
まだ私は飲んでいないのだけれど、「ブルーマウンテン」があったことを知っていた。しかし私はその頃、紅茶しか飲まなかったのでコーヒーというものを自分でいれたことが全くなかった。それでも、何事も形から入る私は、食器棚から気に入っている美しいカップとソーサーを出して、カップをちょっとお湯であっためたりして、準備は万端だった。冬の寒い時期だったので、それはそれはこのコーヒーは美味しいだろうと、数分後を考えると顔がにやついた。なにか大人になったような気分だった。きっと2人とも「うわ〜、おいしい〜!」って感激するに違いないんだから。
よ〜し、うまく入れることができた。2人とも「うっわ〜〜!!いい匂いがする、いただきます」と本当に喜んだ。さっきまでのお喋り3人は、静かに無言で大人っぽく最初のひとくちを飲んだ。
・・・・・・・・・。あれ?なんか変。2人の顔を見ると、かなり変な表情をしていた。1人が私に「ねえ、あのさ、なんかこれって変じゃない?やけに粒々があるんだけど・・・」と申し訳なさそうに言った。もう1人も「そう、やけに粒がある」と真顔で言った。そして私も「うん、おかしい。どうしてこんなに粒があるの???」と言った。
それがフィルターを使うコーヒーだとわかるまでに、時間はかからなかった。それから私は高校を卒業するまで(いや、卒業してからも)、事あるごとに、この出来事を蒸し返されたのであった。
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