ゴージャスサンダル
しつこいくらい「夏が終わってしまった・・・」と書いていた私も、秋を楽しむことに気持ちを変えることにした。街を歩くと暑い中にも秋風を感じて、ますます気持ちよくなってきた。
そうなったら、一刻も早くもっと秋らしくなってほしいと思う。いい加減で何のポリシーもない。
どうして秋があまり好きでなかったかを検証してみよう。それは多分にファッションのせいなのである。秋になると今まで白やパステルのきれいな色が街中にあったのに、突然暗い色になっていく。しかもそれは茶色、辛子色、小豆色、鼠色、鴬色・・・(日本語で色を表すと雅な感じがする)というような、くすんだ色のオンパレードになる。もちろん、そういう色はとても美しいし、着てみると肌に馴染んでステキだ。組み合わせてもトーンが落ちている分、いやらしくならないし上品にもなる。モスグリーンとかは好きな色でもある。
でも、なぜか私は茶系のファッションというのはそれほど好きではなかった。イタリアの人などは茶系を上手く着こなして大人っぽく女っぽく颯爽としているけれど、「モード」ということを考えるとなぜか黒系に気持ちがいってしまう。もうひとつ最大の理由は茶色が自分の肌の色に合わない感じがしていたからだった。
しかし今年の私は少し違う。ベージュや茶色をあてて鏡を見てみると、なんとなく似合っているのだった。その理由は、髪の毛の色にあった。この春に、髪の色をいつもより明るめにしたところ、あれから半年経っているのにどんどん髪が明るくなってくる(色が褪色しているせいだろう)。そうすると、ベージュや茶色がなんだか似合うようになってきた。似合うと、単純に好きにもなってくるのだった。
そういう心境にもなってきて、今やまたまた古着ブームになった。しかもそれはフォークダンスを踊りたくなるような胸に刺繍の入ったブラウスやセーターや少し前なら考えにくいようなおばちゃんっぽいスカート。そういう、一見ださいものが可愛い時代になった。そして私はそういうものは大好きなのだ。それに、インドの服や小物や、中国の小物なんかを組み合わせるとまた怪しげな可愛さを醸し出す。そしてまたその色合わせもとってもださいところが可愛い。
この間は横浜の中華街に、そういう怪しげなグッズを探しに行った。そうすると、あるわあるわ、すご〜い怪しげな物だらけだった。そして私が購入したのは700円のビーズのバッグ。これはとてもかわいい。薄いメッシュの生地にビーズで思いきり刺繍がしてあって、色合いも白と紫でとても美しい。早速持ち歩いたら、突然持ち手が取れたりして、縫い直して使っている。それも700円だから全く許せる。
それからもうひとつ、欲しかったけれど買わなかった物があった。それは980円のサンダル。安っぽいサンダルにキラキラ光るビーズやスパンコールで花の刺繍がしてある。それも本当にかわいかったのだけどかなり迷ってやめてしまった。それはそのサンダルのネーミングにあった。その名も「ゴージャスサンダル」。なんとなくその「ゴージャスサンダル」という名前が、ただその名前だけが私の気持ちを引き潮のようにしたのだった。
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