東京大学小児科常勤医会議設立宣言


現在の医学部附属病院においては,各診療科での従来の運営方式が民主的でなく,いろいろな矛盾を含んでいた事は明らかである。従来の医局制度はいわゆる医局講座制の体制の中にあって,大学病院の診療,教育,研究面での封建性をむしろ支えるものであった。東大小児科の運営に関しては,すでに医局長公選が10年以前より行なわれており,東大病院の中では,比較的自由であった点もあるが,しょせん古い医局制度の制約下にあって,非民主的であった事は否定できない。一方,各科で行なわれている医局会議もその構成が一様でなく東大病院で働く医師の意見を必ずしも反映しているとは思われない。したがって,従来の医局内の慣行,内規にとらわれない自由な意志をもった常勤医師の組織を設立し,主体性をもって運営,執行を行う事が必要であると考える。我々は上記の趣旨に基づき,ここに東京大学小児科常勤医会議を設立する。東京大学小児科常勤医会議は東大小児科常勤医が,その自由な意志の集合として,決議,執行を行なう組織であり,従来の医局内規の規制を受けるものではない事を宣言する。

1968年(昭和43年)11月21日


東京大学小児科常勤医会議





東京大学小児科常勤医会議規約


第一章 総則


第一条 当会議は東京大学小児科常勤医会議と称し,その事務局を東京大学医学部附属病院小児科(以下東大小児科と略す)内に置く。

第二条 当会議は東大小児科において教育,診療,研究に従事する常勤医師がその業務の遂行,運営および医療体制,大学制度等に関し討議を行ない当会議の議決にもとづく活動を行う事を目的とする。

第三条 当会議は他のいかなる組織または,個人の干渉を受けず当会議独自の活動を行うものとする。
第二章 組 織


第四条当会議の構成員(以下会員と称す)に関する規定は以下に定めるものとする。

 第一項 (資格)会員の資格は教授,助教授を除く当小児科常勤医師とする。ここにいう常勤医師とは常勤の文部教官および文部技官の医師,小児科学専攻の大学院生および毎週三日(全日)以上東大小児科に出勤し.最低1年以上勤務する医師とする。

 第二項(入会)前項に該当する者で,当会議に入会を希望する者は,所定の書式に署名捺印し,常任議長(以下に定める)に提出する。常任議長はこれを公示するものとする。

 第三項 (退会又は休会)当会議の退会又は休会を希望する者は,所定の書式に署名捺印し,常任議長(以下に定める)に提出する。
 但し,以下の者は会員の資格を失い退会するか,その期間中会員資格の休止を受け,休会員となる。
 (イ) 第四条第一項に定める資格に該当しなくなったもの。
 (ロ) 第四条第三項イ)以外の者で疾病またはその他の理由により六ケ月以上東大小児科の教育,診療.研究活動に従事出来なくなったもの。
  常任議長は退会者及び休会員の氏名を公示する。
  休会員の(イ)(ロ)の条件が消失した場合.休会員は常任議長に所定の書式をもって届け出る。この日付で休会貝は自動的に会員の資格を得る。
  常任議長は休会員の複合を公示する。

 第四項 (権利)当会員は,第二条に定めるすべての活動に参加する権利をもち・平等な発議権・発言権・投票権・選挙権および被選挙権を有する。休会員は,第六条第一項総会(ハ)(ト)及び(リ)の権利及び会員と平等の発言権を有する他,有給者公選に関する施行細目中に定める選挙権を有する。

 第五項 (義務)当会員は,本会議の主旨を実現するために,自発的,積極的に活動しなければならない。また会議の決定には原則として従わなければならない。

第五条 役員は次の通り定める。

 第一項 本会議は,常任議長1名,常任副議長1名,会計監査人2名および第六条第二項に定める運営委員5名を置く。

 第二項 常任議長は当会議の常任代表者であり,常任副議長はこれを補佐する。常任副議長は常任議長の事故ある時これを代行し得る。

 第三項 役員の選出およびリコールは次に定める。
 (イ) 常任議長,運営委員は全会員の選挙とする。常任議長は有効投票数の過半数の票数を得なければならない。有効投票数の過半数を得られぬ場合には,上位2名の決選投票とする。運営委員は5名連記で上位5名とする。
  常任副議長は常任議長が指名し総会の承認を得る。
 (ロ) 常任議長,運営委員選出には,立候補者及び被推薦者の氏名を投票日の10日以前に公表し,その中より選挙する。候補者は同時にその方針,抱負を公表する事ができる。
 (ハ) 第五条第三項(ロ)の選挙は総会で選出された選挙管理委員3名のもとに行なう。
 (ニ) 常任議長が総会において,議決により不信任された場合には直ちに常任議長を辞任しなければならない。
 この時には常任副議長,運営委員も辞任するものとする。
 (ホ) 第五条,第三項(ニ)の場合,総会は直ちに選挙管理委員を選出し選挙管理委員は次期役員を15日以内に選出するものとする。この間選挙管理委員は常任議長および運営委員会の職務を代行する。
 (へ) 会計監査人は総会で選出する。

 第四項 役員の任期は一年とする。但し重任は妨げない。

第六条 当会議は次に定める会議をもつ。

 第一項 総会
 (イ) 総会は最高の議決機関である。ただし同一議題を提示して招集した総会が連続して4回以上及び30日以上の期間にわたって流会しこ場合,運営委員会の議決によって必要と認められた事項に限り,会員の直接投票をもって総会決議にかえることが出来る。この場合会員総数の2/3の投票をもって成立とし,有効投票の過半数で,かつ会員総数の1/3名以上の賛成をもって可決とする。
 (ロ) 総会は常任議長が招集する。
 (ハ) 総会には会員及び休会員のみが出席する権利を有する。
 (ニ) 常任議長は定例総会を3ケ月に1回開かねばならない。又常任議長が必要と認めた場合,および会員5名以上の要請のある時は,7日以内に臨時総会を招集しなければならない。
     総会の開催は3日前に公示されねばならない。ただし緊急の場合はこの限りでない。
 (ホ) 総会の成立は会員の過半数の出席を必要とする。総会の議長は出席会員より選出されて,最高得票者をこれにあてる。
 (ヘ) 総会の議決は,本規約に特に定めた場合をのぞき出席会員の過半数の賛成が必要である。
 (ト) 会員及び休会員以外の者は議長の許可ある場合のみ傍聴者として出席でき発言は議長の要請による。
 (チ) 教授総会の成員およびその他の非会員が提案する議題は常任議長及び運営委員会を経て総会で審議され得る。
 (リ) 総会の決議をもって重要事項に指定された案件に限り,休会後3年以内の休会員を含む会員の直接投票をもって総会の決議にかえるものとする。この場合有権者総数の2/3以上の投票をもって成立とし,有効投票の過半数でかつ有権者総数の1/3以上の賛成をもって可決とする。

 第二項 運営委員会
 (イ) 運営委員会は常任議長,常任副議長および運営委員により構成される。運営委員会は最高の執行機関であり.常任議長が招集する。
 (ロ) 運営委員2名以上の要請のある時は,常任議長はこれを招集しなければならない。
 (ハ) 常任議長は,運営委員会の議長を務め,運営委員会の運営にあたる。
 (ニ) 運営委員会の成立はその構成員4名以上の出席を必要とする。
 (ホ) 運営委員会は常任議長の要請のある時,拡大運営委員会として一般会員の参加を求めて諮問する。
 (ヘ) 運営委員会は,総会の決定に基づき当会議の執行にあたる。またその執行の一部を小委員会または一般会員に委任することが出来る。
 (ト) 運営委員会は総会および小委員会に議案。方針を提起する。

 第三項 小委員会
 (イ)当会議は第二条に定める事項を審議し,運営委員会に問題を提起し,また総会の諮問に答えるための小委員会を総会の議決を経て組織する。
 (ロ)小委員会の構成員は当会員が当り,細目は総会で議決する。



第三章 その他


第七条 会計

 第一項 当会議の会計年度は4月1日より翌年3月31日迄とする。

 第二項 会計は会費その他の収入をもってあてる。但し会費に関する細目でこれを別に定める。海外在住の休会員については通信その他必要な経費を連営委員会の規定により定めることができる。
 
 第三項 当会議の予算は運営委員会で作製し,総会で決定する。

 第四項 会計は運営委員の1名がこれに当り,定期総会で会計監査人の証明書をつけて決算報告をし,承認を得る。

第八条 罰則

 第一項 当会議の規約に違反し,または決議に反して当会議の目的に反する行為を行った者は,総会の決定に基づき,戒告,権利停止の処置をとることが出来る。

 第二項 前項の決定は総会全出席者の23/4以上の賛成が必要である。

第九条 解散

 当会議の解散には,総会の議決を経た後,休会後3年以内の休会員を含む会員総数の2/3以上の承認を必要とする。

 付則一 本規約施行の細目は総会で議決する。
   二 本規約は昭和44年1月9日より実施する。
   三 本規約の改正には2/3以上の承認を必要とする。
   四 総会,運営委員会,小委員会は開催の都度議事録を作成し,次回の各会合において確認する。







批 准 書


東京大学小児科常勤医会議の一員として,東京大学小児科常勤医会議規約を承認し,ここに批准致します。

1969年(昭和44年)1月署名者(アイウエオ順)

相川 睦子、青山 正征、阿部 敏明、阿波 彰一、五十嵐良雄、今井  正
江木 晋三、大槻  博、近江 恵子、鴨下 重彦、川口 治夫、車田 孝夫
小西ユミ子、小宮 弘毅、施  安霧、十字 文子、鈴木 昌樹、瀬川 昌也
滝田 誠司、多田  裕、田苗 綾子、二瓶 健次、早川  治、日暮  真
兵頭 行夫、水谷 郁子、水野 悌一、柳沢 正義、山本 圭子、吉野加津哉
李  廷彦、林  河宏、渡辺 言夫





存 続 宣 言


私たちは今後とも東京大学小児科常勤医会議の存続を宣言します。


市堰  浩、 中村 嘉宏 、豊治 宏文、 本間伸一郎、 辰巳  憲 、奈倉 道明
川口 裕之、 小林美由紀 、久保田雅也、 渋谷 和彦、 植田 純子、 石井 照之
井田 孔明 、斉藤真木子、 香取 竜生 、八尾 徳明 、香川 二郎 、鈴木 輝明
岡山 みえ、 澤田 雅子、 熊谷 忠志、 北浦 次郎、 舘下夫美恵、 三浦健一郎
安戸 裕貴、 星川 欣明、 李  権二、 仲田 晴子 、清水 伸泰、 渡辺 浩史
奥井 雅人、 山口  学、 清水 信隆、 福岡雅楽子 、友成  宏、 川崎 達也
増田 静恵、 米沢美保子、 馬場 一徳、 西村  力 、西村 鉄也 、朝倉  功
菅本 健司 、清水 健司、 池本 博之、 滝  智彦 、千野 佳恵、 木村 育美
広瀬 宏之、 小埜 良一、 相川 博之、 石井 雅巳 、石戸 博隆 、鹿間 芳明
高橋 謙造 、田口 信子、 戸田 雅久、 長瀬 美香 、八谷 靖夫、 越智 友子
水岸貴代美 、渋谷 紀子、 後藤 正博 、西島 茂智、 狩野 博嗣 、井田 孔明
小林 茂俊、 森脇 浩一、 菊池  陽 、金  鐘栄 、尾関 由美、 菱  俊雄
脇田  傑 、秦 堅佐工 、賀藤  均 、土生 祐司 、鈴木五三男、 高増 哲也
元田 玲奈 、渥美  聡 、早川 政之、 三木 裕子、 中村  元 、豊田 彰史
阿部 裕一 、三平  元 、小野  博 、カールKHチェ、 加藤 良美 、平岡 亜矢
高橋  寛 、野間 清司 、大沢 麻記 、阿部 知子 、米山  明 、成高 信一
廣瀬  学 、森  史子 、阿部 葉子 、長濱 晶子 、岩崎 博之 、宮田 一平
児玉 和夫、 北住 映二、 五石 圭司 、三牧 正和 、高橋 典子、 池田 弘之
稲葉 秀子 、堀尾 恵三 、大橋 雄二、 関根百合子、 岡本  暁、 井手 秀平
康  勝好、 樋渡 光輝 、富田  直 、西澤 詩子 、櫻井 淑男 、大西 宏明
田村 正徳、山口 文佳、 中山 承代 、石橋 涼子 、久米 正法、 加藤 満子
舟橋 敬一 、張田  豊 、鈴木  洋 、金  基成 、横山 宏和 、柳沢 敦広
日比野健一、 伊藤 裕司 、菅原 憲子 、多田 由美 、大野 建樹 、朴  明子
橋本 伸子 、岸 健太郎 、谷口 洋子 、星山 雅樹 、於保 信一 、金子 正英
十字 文子、 飯森 裕一、 軍神 香美、 菊池 水穂 、山崎 英次 、床枝 康伸
鈴木 朋佳 、原  郁子、 繁友 律子 、伊藤 直樹 、石黒 秋生 、片山  啓
宇田川美野子、 南川 逸雄 、花房由季子 、増谷  聡 、高野 良裕 、曽根 良治
木原 亜古 、堤  修一、 斉藤 一郎 、岡   明 、小田切美智子、 林  一峯
奥山 伸彦 、伏島 容子、 中島 典子、 小森 穂子 、滝田 順子、 成田 雅美
加藤 元博 、佐藤  研 、高梨さやか 、横山晶一郎 、磯島  豪 、高橋 礼花
山崎 青衣、 蓮  桃子、 落合 里衣、 岩瀬 真弓、 谷田川聡也、 矢田扶友美
平田陽一郎 、犬塚  亮 、川越  信 、垣内 五月 、磯田 貴義


東大小児科医局員191名署名  2000年(平成12年)5月31日



Toshio Hishi