1997年7月15日。成田空港にはam9:30に着いてしまった。
        12:00発の飛行機だから、まだまだ時間に余裕がある。
        空港内のレストランでのんびりとお茶をすることにした。
             ほんとうにいよいよパリ行き!!
        
        どうしてパリ行きになったのか?あれ程、去年まではN.Y.に
        行っていたのに・・・。たしか去年の7/15も成田にいた。

        思い起こせば1年前。ニューヨークから帰る飛行機の中で、私は
        なぜかパリのことをず〜〜〜っと考えていた。
        どうしてなんだろう。

        ニューヨークは人々が生き生きしている。
        ビル群に負けないゾとばかり、みんな迫力があって姿勢が良い。        
        BLACK MUSIC が好きな私にとっては、ハーレムで行われる
        アマチュアミュージシャンの登竜門「ハーレムナイト」や
        日曜の朝のゴスペルツアーは何よりも素晴らしかった。
        ブロードウェイのミュージカルも、何度観ても感激する。
        ニューヨークは開けても開けても溢れ出る、おもちゃ箱みたいだ。
        刺激的で、だいすきな街!
        
        でも・・・・・。
        なぜか、なぜか、心はパリに奪われていた。

        1996年8月から、自分だけの「パリ探し」が始まった。
        今流行りの「マイ・ブーム」っていうのかなあ。
        一人だけでコソコソと楽しんでいた。
        
        まず本屋さん。もともと大好きで、子供の頃から時間を潰すのは
        いつも本屋さんだったが、パリ探しを始めた私はちょっと殺気だっていた。
        だって「パリ」っていう名前がつく本は単行本でも文庫本でも雑誌でも
        とにかく手当たりしだいに「立ち読み」したのだ。
        私にとっての絶好の場所は池袋西武の「リブロ」。
        ここはコンピュータで検索すれば探したい本が見つかるし、
        長いこと立ち読みしていても、店員さんに何も言われない。
        おまけに「どうぞ、どうぞ、読んで下さいよ。」っていう具合に
        本屋さんにテーブルと椅子が用意してあって、座り読みできる。
        だから暇な日曜日はまるで図書館のように通った。

        それから映画。
        シネ・ヴィヴァン六本木ではほとんど映画ばかり上映しているのだ。
        エリック・ロメールの映画もだいたいここで上映される。
        レンタルビデオではあまりにロメールの映画が少ない。「友だちの恋人」
        「満月の夜」「春のソナタ」「冬物語」「獅子座」「飛行士の妻」
        「美しき結婚」「緑の光線」「海辺のポーリーヌ」「木と市長と文化会館」
        「クレールの膝」「四つの冒険」「愛の昼下がり」・・・・・・・・
        これらの何れも、レンタルビデオ屋さんでみつけたことがないのだ。
        いったい何処に行ったら観られるのでしょうか??

        美術館でも、電車の中吊り広告でも、テレビでも「パリ」「フランス」と
        書いてあれば心をときめかし、そこだけ後光が射していて他のものが
        見えなくなる。これじゃ、まるっきり怪しいヒトですね。