ドビュッシーとマティス、作曲家と画家。
         単純に私はこの二人の芸術家が好きだ。
         難しいこと抜きで、感覚的にこの二人が好きなのである。
         
         ショパンはピアノの詩人と呼ばれていた。それと並ぶように
         ドビュッシーはピアノの画家と呼ばれたのである。
         そう、ドビュッシーの音楽は極めて絵画的で、それはいくつかの
         曲名にも表れている。

         情景を思い浮かべたり遠い記憶を辿ったり、
         集中して音を聴くという作業よりも、その音楽を耳にすることで
         頭の中に浮かんだり思い出す断片的な何かを、一本の糸のように
         絡めて結びつけることをゆったりとした気分のままできてしまう、
         そんな音楽が良い音楽なのではないかな?と私は勝手に思っている。
         そして、それができてしまうのが、ドビュッシーの音楽なのだ。
         
         絵画は構図や色使いが重要だと思う。いわゆるそれはセンスというやつだ。
         マティスには、どんなに長い時間経っても廃れることのないセンスを感じて
         しまう。それも全くの私の個人的な意見だけれど・・・。
         どの絵を見ても小粋で、マティスというひとりの人間のユーモアすら
         感じることができるのだ。幾つになっても心の中の綾を大切に紡ぐ姿勢が
         マティスの絵からは伝わってくる。

         そしてこの二人とも、パリ・フランスとは重要な関わりを持って
         暮らしていた。

         ドビュッシーが弾けるようになることは、こどもの頃の大きな目標だった。

         そんなわけで、やはり「パリ」なのである。


オランジュリー美術館のマティス