「私のためじゃない」
「物を見て歩く」ことが異様に好きだ。特にそれが「雑貨」となると、体力さえ万全なら一日中雑貨屋さんめぐりをできるくらい、好きでたまらない。それと同レベルで好きなのは「本屋」である。ベストセラーを読みあさるなんていう趣味は全くないし、偏見に満ちた読書をする私は、興味のないものは流行っていても読んだりできない。何万冊と溢れている本の中、インクと紙の匂いいっぱいの中、パッと目に飛び込んできた美しい装丁に出くわすと感動してしばらくその場を動けなくなる。私の場合、脳味噌を使って動いているのではなく、とにかく「感覚」でパタパタと動いているだけなのだ。
そしてもちろん洋服を見ることも大好きである・・・と言っても、このホームページにもしつこいくらい書いているので鬱陶しく思う人もいると思うけれど(それでも書いてしまうことをどうぞお許しください!)自分自身はアニエスと堅く心に決めているので、よそに浮気して衝動買いしてしまうことはない。それでも、とにかくどんな服でも形・色・雰囲気を見て歩くのが大好きなのである。店員さんにしてみれば、とってもいや〜〜な客で、とっても変な客だろう。だって全く買う気なんてなくて、ただ見ているだけなのだから。その見方も半端でないときがある。先ほどの本屋の話と同様、面白いデザイン、「おおっ!」という色、そんな服に出会ってしまったら、やはりしばらくその場を動けないときがある。夢中になっているときは自分ではわからないけれど、相当間抜けな顔をして立ち止まっているのだろうか。または何かを思い詰めているように見えるのだろうか・・・。(おそろしい)
そして、一番好きな雑貨屋となると、もっと大変なのだ。とにかく店の隅から隅まで、それこそ店の「ディスプレイ」や「非売品の置物」に至るまで、よ〜く見ないと気がすまない。しかも自分の好きなテイストの品物を置いていてなおかつ家の近所の店であったら、週に1度は必ず覗かなければ禁断症状が出てくる。それだけしょっちゅう見に行っていると、見たことのある物とまだ見ていない物に関してかなり目利き(?)するので、店に入って2分くらいで出てこれるときもある。それもますます怪しい。しかし、季節の変わり目などは雑貨屋さんもこれから迎える季節を演出する品物を競い合って入れ替えるので、そうなるとお店に1時間以上も入り浸りになってしまう。
物は見て楽しいし、一目見て気に入って、何度見ても気に入って、どうしても欲しくてたまらなかったら買う。そうしておかないとこんなに物が溢れている世の中では、手に入れたくてたまらない物ばかり次から次に出てくるから。しかもこんなに「見ることが好き」な性分だと、なんでも手に入れてしまったら、鳥小屋(いや、鳥かご)のような小さな家の中がパニックになる。
そんなとき私が心の中で思うのは「これは私のためのものじゃない」っていうことだ。気に入った物がたとえ安くても、本当にそれが自分のためのものか・・・ひと呼吸おいてみる。そうするとたいがい、「私のためのものじゃない」という答えが返ってくる。もちろんその逆もある。「これこそ絶対自分のためにあるものだ!」って、妙に自信過剰に思えてしまう瞬間もある。そんなときは意気揚々と思い切って買ってしまうのだ。
「私のためじゃない」って思えると、海外旅行に行ってもあちこちの高級ブランド店でおきまりのようにカードを使ってしまうこともない。それでも、もちろん、見て歩くのはたまらなくたのしいけれど!!
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