1999.4.19

「変身コーナー」開催!

 以前、TVの「変身コーナー」を子供の頃とても好きだったと書いたけれど、その「変身コーナー」を実際に催してしまった!
 先日、知り合いの男の子Tくんが、髪がどうの服がどうの、自分のことを急に客観視してブツブツ言っていた。それで私はピ〜ンときて「もしかしてデート??」と聞いたら、やっぱりそうだった。
 それまでのTくんは全くそんなこと興味もなかったがそれなりにちゃんとはしていた。けれども、もうちょっとどうにかなりそうな感じであった。
 そのTくんがそんなひと言を私の前で吐いたのが運のつき。好奇心がムクムクと身体中いっぱいに広がった。「ねっ、ねっ、ちょっとだけ変身する気ない??」その私の勢いに何かを感じとったのだろう。Tくんはたじろいでいた。しかし、彼の一言二言を聞いてしまった私の欲望が止まるわけがない。もうなんだか勝手にひとりで盛り上がっちゃって「しよう、しよう、変身しよう〜」なんて騒いでいた。
 そこにちょうど、わりにセンスのいい男の子、Fくんが現れた。Fくんに話したら、彼もすごい乗り気になってしまって「いやあ、おもしろそうっすね。やりましょうよ、やりましょう〜!」と更にその案をヒートアップしてくれた。
 その日からFくんと私は、Tくんのスタイリストになったのである。いつになく素直なTくんは、軍資金を用意して一緒に服を買いに行くことになった。しかしその額は「全身で1万円」ということであった。う〜む。確かに古着とかで決めるならそれも面白い。しかし、いまどきの古着は結構な値段がするのだった。バザーならともかく、古着屋さんではその値段で頭のてっぺんから足の先まで揃うのだろうか?しかし困難な望みほど叶えるのは面白い。いや、でもまてよ・・・。古着っていうのは、組み合わせが上手いと大成功だし、かなり格好いい。けれどもそういうのが苦手な人にとっては、果たしてその後、着回しっていうのができるのだろうか。・・などなどといろいろ考えた結果、「無印良品」に行くことにした。「無印」は、今や海外にも「MUJI」という名前で進出するほどビッグになった。ここにはステーショナリー、家具、家電、インテリア、食料品、家庭用品、そして服やバッグまで何でもある。無印を知らない人はいるのだろうか?っていうくらい、その品数の多さや店内の混雑にはいつも驚いてしまう。無印の服はベーシックで爽やかな感じで、安いけれどそこそこ組み合わせが上手ければ感じのいいっていう服である。
 「全身で1万円」というちょっと人や物をなめているような要望も、Tくんの引いているように見えて実は押しの強い性格のおかげで、なぜか周りからの寄付が1万5千円もあった。Tくん、君ってすごすぎる・・・。つまり所持金と合わせて「計2万5千円」になったのである。いまどき、人の変身のためにこれだけの寄付が集まるなんて・・・。みんな人がいいなあ。
 そして私たちはその軍資金を持って池袋西武の「無印良品」へ向かった。 

1999.4.19

「変身コーナー」開催!2

 出かける前にやっておくことがあった。それはTくんの髪型。この日のためにとりあえず床屋さんでカットをしてきたTくんは、とってもさっぱりと気持ちの良い床屋の店先に貼られているような髪型をしていたのだが、私たちスタイリストには納得のいかない髪型だったのである。そこで髪の毛を一度くしゃくしゃっとして、家から持参したWAXをつけて無造作ヘアに変身をしたのだった。分け目を崩したりくしゃくしゃっとさせて毛流れをあちらこちらにしただけで随分と雰囲気が出てきた。Fくんと私はちょっとにんまりで、周りも賛同させてしまった。
 Tくんは「え〜っ、こんなんじゃあ歩けないよ〜」とか言っている。しかし、お洒落っていうのは、そんなところから一歩を踏み出すものだよ、Tくん。
 Fくんの車で無印に到着した私たちは、まずパンツのコーナーに行った。そこではTくんが一度も履いたことのない黒のパンツを買うことにした。そして試着したり、ああでもないこうでもないという結果、パンツ2本・シャツ2枚・Tシャツ1枚・ベルト・スニーカー・バッグ・靴下2足・・・こんなに購入したのである。しかし2万5千円でこれほど買えるなんて無印ってホントにすごいなあ。
 確かに、試着室で黒のパンツに黒のハイカットのスニーカーを履いたTくんは、「うんうん、いいよ〜」と素直にほめることができた。個人的にはボーダーシャツも着てほしかったのだけれど、本人が堅く拒否をしていた。
 それから着こなしのアドバイスや髪のスタイリングなど、Tくんにきちんとアフターフォローまでしたスタイリストの二人組であった。
 こんなことをしていると、「男は見かけじゃない」なんて言う人もいるだろう。うん、キムタクのようにとか、誰々のようにとか、そんな風な意識しか持っていない男の子はあんまりステキとは思えない。けれども見かけってやっぱり大切だと思う。その人らしい「雰囲気」があれば、時代遅れの格好でも全くOKだと思う。何より、どんな服を着ていても周りに納得させられる存在感がその人にあれば、その人らしいオリジナリティが一番格好いい。
 服装も顔も、自分が鏡で見るだけのものじゃない。他人が見て気持ちよくなったり楽しくなったり落ち着いたりするものでもある。そんないろんな表情を見せられるためにも、やっぱり服装って大切だなあと思ってしまうのだ。そういう私は、この春はやわらかくてきれいな色を着たいなあと思う。
 変身したい人、いつでも受け付けております!!