第102回日本小児科学会学術集会開催にあたって

第102回日本小児科学会学術集会開催にあたって 会頭 柳澤正義(東京大学医学研究科小児科学)
 第102回日本小児科学会学術集会は・第25回日本医学会総会の分科会のひとつとして東京で開催されますが、会頭にご指名いただき大変光栄に存じております。実り多い学会とするべく・3年間にわたって準備を進めて参りました。多くの方々のご協力、ご助言を得て、ここに開催の運びとなりましたことは私にとりましてこの上ない喜びであります。
 本学術集会のメインテーマは・次代を背負う子ども達が心も体も健康に育っていくよう、私達小児科医が最大限の努力をしていくという思いを込めて、「21世紀に生きる子ども達のために」といたしました。例年のごとく、講演、シンポジウム、一般演題の発表などによって構成されておりますが、学術研究成果の発表と討論、小児科医の卒後教育、会員間の交流に的を絞ったできるだけ簡素・実質的な学会にいたしました。基調講演は伊藤正男先生にお願いいたしました。今後のわが国の科学研究の方向について示唆に富んだお話を例えるものと期待しております。特別講演・シンポジウム、教育講演には、最先端の研究成果、最近のトピックス・日常の診療に直接役立つ臨床的課題、小児保健的問題まで、幅広く、バランスよく取上げるようにいたしました。私は、一般演題の発表を学術集会として最も重要なものと位置付けております。原則として・ポスター展示・発表といたしましたが、プログラム委員による評価の高い60題は優秀演題として口演発表していただきます。ポスターは3日間通して展示し・一定の時間に座長の司会のもとで説明と討論をしていただきます。多数の抄録を評価していただいたプログラム委員の方々には改めて御礼申し上げます。今回の学会では・一般演題の募集およびプログラム委員による評価をインターネット.ホームページを用いて行いました。日本小児科学会として初めての試みであり、演題募集の際に戸惑われた方もおられたのではないかと存じ、申し訳なく思っております。パソコン、インターネットの普及は時代の趨勢であり、今後の学会準備、運営において当然行われていく方向であろうと考え、敢えて新しい試みをさせていただきました。なお・本学術集会における特別の企画として、「国際留学生フォーラム」があります。これはわが国に留学している外国人小児科医に日本での基礎的・臨床的研究の成果あるいは自国での研究業績を発表する機会を与えたいということで企画いたしました。また、市民公開講座は「母乳育児をめぐって」と題して4月25日(日)の午後に開催いたします。小林登先生による基調講演「子育ての理念」とシンポジウムが行われます。ともに多数の参加者があることを願っております。
 分子細胞レベルにおける病因・病態についての発見、情報科学技術を駆使した新しい画像診断法の開発など・医学・医療の目覚しい進歩発展の一方で、社会の急激な少子高齢化と疾病構造の変化から・現在・わが国の小児医療は多くの課題を抱えており、大きな転換点に立っているように思います。小児科医にとって、まさに正念場に差し掛っているといってよいのかも知れません。本学術集会が、小児科学、小児医療・保健に関わるさまざまな問題について意見を交わし、解決への緒となることを願っております。


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